スポーツ報知2017年1月7日号院内では芸人さんの話にいちいち目くじらを立てなくてもと言う意見も多かったのだが、やはり我々厚生クリニック福岡は福岡博多の地でED外来専門医療機関のパイオニアとして10年の実績があり、世に蔓延るEDED治療薬に対する誤った情報や誤解、ウソを正していく使命があると考えているので、どうしても見過ごすことができなかった

該当の番組「人志松本のすべらない話」を録画で確認したところ、松本人志氏をはじめ出演者の何人かは首を傾げていたので、吉本芸人の間では このようなバイアグラにまつわる都市伝説の真偽をよくご存知なのであろう

余談になるが、過去に「人志松本の◯◯な話」においても若手芸人が祖父の火葬後に、祖母が遺骨の中から大ぶりのダイヤモンドを拾い出して喪服の袖にそっとしまったという話を披露していたが、ダイヤモンドの燃焼温度は600℃、火葬場の設定温度は全国平均1,000℃であり、完全な創作である
この時も高名な吉本芸人さんの多くは失笑しており、芸人さんの多くは博識なんだなと感動したのを覚えている

番組としては「すべらない話」も「○○な話」も実際に話者が体験した「すべらない話」や「◯◯な話」を披露するという趣旨のはずであるが、ウケるために創作話を披露するというルール違反者も多く、そういった与太話を視聴者の多くが疑いなく信じてしまい、都市伝説は広がっていく

さて、本題に戻ろう

今回、スポーツ報知誌が取り上げた綾小路きみまろ氏のすべらない話は3つあったのだが、我々が問題視しているのは3つ目のバイアグラに関する話題である

知人の家で主人がうっかり落とした「バイアグラ」を飲んだ犬が発情して奥さんに向かって一晩中腰を振った。

引用元:スポーツ報知オンライン2017年1月7日

実際にED治療薬を服用したことのある患者さんは当然のように理解していることであるが、バイアグラをはじめとするED治療薬に催淫効果や媚薬的効果はない

古来より「媚薬」という言葉は存在するが、これは不老不死の仙薬と同じく想像上の存在であり、一説では本当に性的興奮を引き起こすことができる成分を合成できたならノーベル生理学・医学賞を獲れると言われている

ただし、人間であれば「俺は今バイアグラを飲んだんだ」というプラシーボ効果によってムラムラしてくるという可能性は否定できない
当院の患者さんにも「ED治療薬を飲んどると女性がみんな可愛く見えるんやけど、なんでかいな?(笑)」というプラシーボ効果を実感されている方が多くおられる

しかし、これは人間に限ったことで、ED治療薬の効果を認知できない犬には起き得ない

加えて、医薬品の多くは成人男性の平均体重65㌔を基準に含有成分などの調整を行っているという事実も忘れてはならない

綾小路きみまろ氏の話における犬は室内で飼育されているようである
仮に室内飼育可能な大型犬の代表であるゴールデンレトリバーの平均体重は32㌔であるから人間が服用したときの倍以上の血中濃度となる

バイアグラが国内認可される以前の1997年に江頭2:50氏が中野のパブでバイアグラを5錠まとめて服用し、急性の低血圧症状を引き起こして救急車搬送されたことがある
江頭2:50氏が入手していたバイアグラは25mgとのことなので、体重60㌔の成人男性でも125mgを服用すれば急性の低血圧症状を引き起こすほどの血中濃度となり、腰を振るどころの騒ぎではなくなってしまうということだ

以上の医学的検証によって今回、綾小路きみまろ氏の話は完全にウソであると断言できる

ステージで話芸を披露していた以前と違い、ネットの普及に伴ってネタの鮮度が著しく短くなっているため、芸人さん達も新しいネタを次から次へと創っていかねばならず、非常に大変ではあると思う
しかし、番組の趣旨と医学情報の誤謬を生む話はやめていただきたいものである