前回したためた「バイアグラの歴史」が患者さんたちから好評だったので、今回はレビトラの歴史についてしたためようと思う。

話しのタネにでもなれば幸いである。

レビトラの歴史は、バイアグラという革新的な新薬への挑戦と言っても過言ではない

国内正規品 バイエル薬品のレビトラ錠10mg、20mg

国内正規品 バイエル薬品のレビトラ錠10mg、20mg

1998年に登場したバイアグラは世界No.1の製薬メーカーであるファイザー社が久しぶりに世に送り出した新薬であり、それまでは精力剤や媚薬などといった怪しい存在に依存するしかなった多くのED患者たちに明確な「薬」として「治療」を提供した。

言うなれば祈祷や呪術で病を治そうとしていた原始時代から、投薬によって病を治す現代まで一気に12万年をタイムスリップしたようなものだ。

ファイザー独占のED治療薬という新しいジャンルに新規参入することを目指し多くの製薬メーカーが開発に着手した。

世界1位の製薬メーカーがでさえ開発から販売まで16年かかったバイアグラ。 開発の経緯は違えど莫大なコストと時間がかかることは目に見えていた。

そこで世界15位の製薬メーカーであるバイエル薬品が主導し、ファイザーの牙城を切り崩すべく世界6位のグラクソ・スミスクライン(GSK)とシェリング・プラウ(現在はバイエル社に吸収合併)という3社で開発をスタートさせた。

ニトログリセリンの効き方からヒントを得て成分構成されたバイアグラの主成分「シルデナフィル」を元に、シルデナフィルよりも副作用が少なく、主作用もより安定化させることを目標に開発された成分「バルデナフィル」はcGMP分解酵素「PDE-5」※の活性を阻害することに絞られた。

※PDE-5についてはバイアグラの歴史を参照されたし

そうして開発された新成分は「バルデナフィル」と名付けられ、レビトラの主成分となる。

こうして分子構造図を比較するとバイアグラの主成分シルデナフィルを良く模倣し、かつPDE-5をターゲットに創り込まれていることが良く分かる。

余談になるが、ヒトをはじめとする哺乳類はPDE-1~PDE-11までのGMP分解酵素を持っているが、バルデナフィルの優れている点はPDE群に最も強く働きかけるように調整されている点にある。

効果時間・作用時間・PDE阻害作用~比較表

成分名 シルデナフィル バルデナフィル タダラフィル
最高血中濃度到達時間 30分~1.5時間 42分~54分 30分~4時間
消失半減期 3~4時間 3時間12分~5時間18分 14~15時間
生物学的利用率(%) 41% 14.5% 36%~
IC50(nM) PDE-1 281 70 30,000
PDE-5 3.5~8.5 0.1~0.7 0.94~6.4
PDE-6-ROD(光覚) 37 3.5 1,260
PDE-6-CONE(色覚) 34 0.6 1,300
PDE-9 2,610 581 100,000
PDE-11 2,730 162 37

最高血中濃度到達時間
その主成分の血中濃度が最大値になるまでの時間を指す。 この表を見るとよく分かるが、レビトラはバイアグラやシアリスに比べ、非常に詳細まで調査していることが分かる。
平均値を使えば、効果を発揮するまでにかかる時間はバイアグラが1時間、レビトラが48分、シアリスが2時間15分ということが分かる。

消失半減期
血中濃度が最大値の半分以下になるまでにかかる時間を指す。 平均値で表すとバイアグラが3時間半、レビトラが4時間15分、シアリスが14時間半で効果が半減するということだ。

生物学的利用率
主成分が体全体に吸収する割合のことを指す。
血管から直接注入する静脈注射の場合、生物学的利用率は100%となるが、経口薬の場合は胃酸による消化や腸からの吸収率など様々な障害があるため主成分が100%利用できるわけではない。
一見、レビトラが最も利用率が低いように見えるが、後述の「PDE-5」の阻害作用が少量でも強いためバイアグラやシアリスに引けを取らない効果を上げられるようになっているということが分かる。

IC50
「half maximal inhibitory concentration」の略で、薬剤の投与により生物学的プロセスに結びつく要素である酵素、細胞、受容体、微生物等の半分を阻害するのに必要な有効成分の濃度を意味している。
数値が低ければ低い程、その薬剤の阻害作用が強いことになる。

PDEー1は脳、心臓、骨格筋、肝臓、血管、筋肉、内臓筋に発現する酵素である。

PDE-5とはcGMP(環状グアノシン一リン酸)を壊す酵素。
勃起不全に最も関わる酵素である。 PDE5阻害作用にターゲットを絞って開発されたレビトラが最も強い効果を発揮しているのが分かる。

PDE-6は主に網膜にある酵素である。
眼球内に入った光が奥の網膜に集まり、そこから光の信号が視神経、脳へと伝わることで人は眼が見えている。 この脳への伝達に関わる酵素がPDEー6である。

PDE-9は人では脳、脾臓、小腸などに発現が確認されている酵素である。
特にネズミやリスなどには脳の局在が解析されており、PDE-9は脳の全領域にて発現することが解明されている。

PDE-11は体全体にある酵素ではあるが、その役割はまだ解明されていない。 動物実験では精子の増減に関わっていることが報告されている。

以上のデータにより、14.5%ほどしか利用されないにもかかわらず、PDE酵素を阻害する作用においてズバ抜けた高さを出すようにレビトラが創造されたことがよく分かったと思う。

レビトラは、食事の影響を最小限に止め、早く効き、PDE-5の阻害作用が最も高いED治療薬と言えよう。

レビトラは米国FDAに承認申請を出すまでに5年間、ED治療薬として研究し尽くされたためにこのような数値を叩き出せるまでに至ったのである。

2001年12月に各国で承認申請を行い、2004年4月に製造販売が許可され、第2のED治療薬として世に送り込まれた。

多くの患者さんが「一番カタくなる」と当院で最も人気が高いレビトラ20mgは遅れること2007年7月に販売許可がおりた。

レビトラのページ

レビトラの添付文書