【松居一代騒動】気になった記事【バイアグラ100ml男】

バイアグラ100ml男がネット上でパワーワード化

『バイアグラ100ml男』(注1)Twitter上でトレンド1位のパワーワードになり、ネット上のみならず、テレビや週刊誌をも巻き込んでいる


当院は日常的にバイアグラをはじめ、シアリスレビトラED治療薬などのキーワードでGoogleニュースからアラートを受け取るようにしており、なるべく世間一般の方々のイメージや情報元を把握しておこうと備えているのだが、そんな中で気になったネットニュースあった

当院の患者さんの多くはネットリテラシーの高い方々が多いので、フェイクニュース印象操作系の報道などに惑わされることはないと思われるが、患者さんのパートナーやご友人がデマに惑わされないとは限らない

事実、過去に処方翌日に来院されて「ちょっとカミさんにバイアグラは安全な薬だって説明してやってもらえんですか?」と携帯を渡されたことや、パートナーと思しき方から副作用についての問い合わせを電話でいただいたこともあったのだ

そこで今回の騒動で、パートナーやご友人らから無用の心配をされて煩わしい思いをされていらっしゃるであろう患者さんのために、医学的見地から心配の種を解消しようと思う

こちらが今回我々が懸念している問題の記事

許すor許さない?彼が「バイアグラを隠し持っていた」エピソード2つ

全文は出典元:許すor許さない?彼が「バイアグラを隠し持っていた」エピソード2つ – Menjoy! を参照いただくとして、問題の一文は

2:体が心配になる

バイアグラって他の薬とは違い、かなり体に負担がかかるらしいですね。

本当に好きな人がこの薬を使っているのなら、まず第一に彼の体が心配になるようです。

無理しなくていいよ

これは1とは違い、妊活中の夫婦の話。彼がバイアグラを使っていた相手は自分。

最初は知らなかったけれど、たまたま彼のセカンドバッグからバイアグラを見つけてしまったそうです。

彼女は今妊活中(注2)、もうそろそろ排卵日がくる。彼はそのためにこの薬を用意してくれたのであろうか。

その夜、いつも以上に時間をかけて愛してくれた彼、彼女は朝見つけた薬のことを思い出した。

次の日の朝、さりげなくバッグの中を確認すると薬はなくなっていたそう。「やっぱり……」

彼女は非常に複雑な気持ちになったそうです。不意に自分が「子供が欲しいな」と言った為に、彼に知らぬ間に負担をかけていたのかもしれないと。

薬のことを調べて一番心配になったのは彼の体のこと。そこまでして彼女は子供が欲しいわけではなかった。

出典元:許すor許さない?彼が「バイアグラを隠し持っていた」エピソード2つ – Menjoy! 

なんとも微笑ましいエピソードのように書いているが、冒頭の一節がすでに事実ではない

恐れるべきは海外ジェネリックやコピー薬

文中で比較対象としてる「他の薬」が何なのかは分からないが、一般的な診断薬や市販薬と比較してと言うことであろう
バイアグラの誤解として最も多いのが「心臓に負担をかける」というものだ

このエピソードの話者は後半で「薬のことを調べて」いるにもかかわらず、心配が解消されていないところを見るとネット上にどれだけのウソと誤解が多いかが分かる

もし仮に、服用者が自らの体験談として「心臓に負担がかかって…」と語ったとするならば、断言しよう「その者が服用したのはバイアグラのようなモノであって、バイアグラではない」

ご存じの方も多いであろうが、ネットで入手できる海外ジェネリックバイアグラや類似した海外製ED治療薬は例外なく正規品ではない
自称海外製ジェネリックと呼ばれるモノ(国策として成分特許を認めていない国[主にインド、中共国]の製薬メーカーがバイアグラの主成分であるシルデナフィルの成分構造をコピーしたモノ)はまだマシな方で、個人輸入代行業者から入手できるED治療薬の多くは偽造薬模造薬であることがバイアグラの製造販売元であるファイザー社とシアリスの製造元である日本イーライリリー社、販売元の日本新薬、そしてレビトラの製造販売元であるバイエル薬品が昨年(2016年)行った4社合同調査で明らかになっている

海外製が危ないワケ

これら模造薬や偽造薬は正規品の雰囲気を出すために「エピネフリン」という昇圧剤の成分を練り込んでいるモノが多い
昇圧剤とは血圧を上げる医薬品で、主に事故などで失血が多い状態や重度のストレスなどで血圧が下がってしまう急性循環不全という症状に用いられる
この成分はED治療薬の主成分の1/500程度の金額で、練り込むと副作用である動悸が現れるので、効いた気がしてくるという算段なのである

くだんの「心臓に負担」うんぬんというデマの正体はこのような偽造薬や模造薬からもたらされている

では実際に正規品の副作用に「心臓への負担」はあるのだろうか?
実は我々がバイアグラを信頼し、胸を張って患者さんたちにお勧めできる理由の一つに販売前、販売後も「人体実験」を行っている点がある

人体実験というと驚かれる方も多いであろうが、医薬品というのは患者さんに協力してもらって効果や副作用を研究する「臨床試験」と言う名の「人体実験」を行い、安全性が証明できないと販売できないのである
この人体実験の素晴らしいところは1.他の医薬品を併用しない(実験対象の効果だけを立証できる)2.プラシーボも同時に検証する(思い込みを実験結果に水増しできない)という公正な検証を行っている点である
サプリメント(健康補助食品)の宣伝によく見られる「エビデンス」「お客様の声」などという子供だましとは比較にならないレベルの公正さと精度なのだ

バイアグラが安全なワケ

特にバイアグラは世界初のED治療薬であり、いわば未知の治療薬であったため、ファイザー社は慎重かつ精密に検証を行い続けている

そして、それらの検証結果は公表が義務付けられている
現在までの検証で判明している副作用は試験開始時点
ほてり、潮紅が10.83%
頭痛が10.83%
CPK増加が5.73%
つまり副作用を実感した者は41.4%であり半数以上は副作用を感じなかったということになる
CPKは聞き慣れない言葉だと思うが、簡単に言うと筋肉が消費された値のことで、臨床試験に同意した患者さんの多くは積極的にセックスを行ったために筋肉消費したと考えられる

様々な微調整を加えた販売前試験
ほてり、潮紅が15.19%
頭痛が13.24%
消化不良が3.40%
副作用の発現率は31.71%

そして販売後、現在までの調査では
ほてり、潮紅が3.08%
頭痛が1.08%
動悸が0.41%
副作用の発現率は5.27%となっている

つまり、現在 医療機関で処方されている正規バイアグラであれば、何らかの副作用を実感する人は およそ20人に一人であり
正規バイアグラで動悸を感じる者は およそ250人に一人なのである

いかに「バイアグラは心臓に負担が…」という伝聞が誤解であるかが分かっていただけたと思う

ちなみに医学的見地で言う「動悸」とはどのようなものかというと、アルコール血中濃度が0.05%未満の「爽快期」に相当すると考えてもらって良い
これを目安となる酒量に言い換えるとビール中瓶1本、焼酎ロック1杯、ワイン1.5杯、ウイスキーシングル2杯程度である

無用な心配にはこの一言

パートナーが「バイアグラは副作用ガー」とか、ご友人らが「心臓に負担ガー」と無用な心配をしてきたら「バイアグラの動悸なんてビール中瓶、焼酎1杯程度ぜ!」と言い返してやってもらいたい


(注1) バイアグラ100mlはバイアグラ100mgの書き間違いで、国内ではバイアグラ100mgは未承認薬


(注2) バイアグラはED(勃起不全)の治療薬であり、不妊や不妊治療には何ら関連はない