4割がニセモノ!! 危ない「ED治療薬」のネット輸入

週刊朝日2017年5月19日号幾度となく危険性を指摘されているにも関わらず、人気の衰えない「個人輸入」
本来、医療用医薬品の個人輸入は国内で認可されていない「末期がん治療薬」などを患者さんの要望で担当医師が行うものであった

日本の法整備が追いついていない現状がこのような悪習慣を野放しにしている現状が非常に嘆かわしい

ED(勃起不全)治療薬としてバイアグラが世界で初めて製品化されて20年近く。

その後、レビトラ、シアリスなども登場した。

シアリス100mg錠

C100と刻印された「実在しない」シアリス100mg錠

 

一方、こうした薬の偽薬品も多く出回っている。
2016年10月には、大阪府警がバイアグラの偽造品約30万錠を押収。「1回の押収量では過去最多の量」(製薬企業関係者)だ。“個人輸入”という名目でインターネットのサイトで偽薬品を購入するケースが後を絶たないという。

「先生、会社の後輩がインターネットでこんなものを買いまして。“使ってみれば”と言ってきたんです」
そう言って50代の男性会社員がおもむろに取り出したのは、「C100」と刻印のある黄色い錠剤。 都内のクリニック院長は一目見て、苦笑した。
「シアリスの典型的なニセモノ。正規品には100ミリグラムはありません」

偽薬品とはその名のとおり薬のニセモノだが、WHO(世界保健機関)では「表示された有効成分が含まれていない」「表示成分以外の有効成分が含まれている」「成分の量が表示と異なる」などと定義している。

ややこしいが、このほかに「海外では正規品として使われているが、日本では承認されていないもの」もあり、ED治療薬では、バイアグラの100ミリグラム錠がそれに当たる。
この場合は未承認薬として薬機法(※)の規制の対象になる。

「個人使用が目的で個人輸入する場合、違法ではありません。ですが、健康問題などが起こってもすべて自己責任です」(上記の院長)

実際、個人輸入の薬はどれくらい危険なのか。
ED治療薬を製造・販売している4社(ファイザー、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリー)は16年、日本とタイの調査会社に依頼し、「個人輸入代行」を銘打つ業者のネットサイトから商品を購入し、中身を鑑定した。
その結果、約4割が偽薬品と判明した。
今回は検出されなかったが、過去には覚醒剤やネズミ駆除に使われるホウ酸など、服用すると健康被害が及ぶ成分が含まれていたこともあったという。

健康被害については、製薬メーカーに問い合わせがあったものに、「意識不明になり、けいれんを起こした」「頭痛がする」「胃の調子が悪くなった」「目の前が真っ暗になった」など。
1例だが死亡例もあるという。

昭和大学藤が丘病院泌尿器科教授の佐々木春明医師は、こんな一例を知る。
40代の男性患者が救急外来を訪ねたとたん、意識消失したという。CT検査などをしたところ、血糖値が急激に下がって低血糖を起こしていることがわかった。
意識を取り戻した患者は、「タイにいる友人から送ってもらったシアリスを飲んだ」と答えたという。

「その薬には糖尿病に使う血糖降下薬の成分が含まれていたわけです。病院に来ても、ネットで買った薬を飲んで具合が悪くなったとは言えない患者さんが多い。カミングアウトしないので、原因がわかるまで時間がかかります」(佐々木医師)

厚生労働省のインターネット調査によると、個人輸入した医薬品で最も多かったのは性機能増強薬で22%。
全体で副作用症状が出た経験があるのは、15.8%だった。
興味深いことに、先の4社が以前行った調査によると、インターネットで偽薬品が出回っているというリスクを認識している人は、97%もいるのに対し、「自分がネットで購入したものは本物だ」と考える人が88%もいた。

ED治療薬は本来、医師の診察と処方がなければ入手できないもの。
リスクの多さを考えると「手軽さ」や「興味」で買うものではない。

引用元: 週刊朝日「4割がニセモノ!! 危ない「ED治療薬」のネット輸入」