EDと生活習慣病Ⅰ(高血圧症)

高血圧とは

EDと高血圧我々の血圧は、少し体を動かしたり、寒さを感じるなどでも簡単に上昇する。 こうした一時的な血圧の上昇を高血圧とは言わない
高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に120/80mmHg~140/90mmHgよりも高い状態を指す

高血圧の何が問題かと言えば、血圧が高いと血管に常に負担をかけている状態であり、血管の内壁の損傷、柔軟性を失うことで動脈硬化の原因となり得るからである

高血圧は加齢と比例することが多く、2014年に実施された厚生労働省の「患者調査」によれば、高血圧症患者の総数は1,010万800人となっている。 これは日本国民の6%にあたるが、2011年の実施より104万人も増加しており、今後も高齢化と共に増えていく見込みである

 

高血圧症には自覚症状がない場合が多く、何かしらの障害を起こしてから自覚することが少なくない疾患でもある
その「何かしらの障害」の一つがEDであり、高血圧症大国と言われているアメリカにおけるバイアグラの登場に大きな反響があったのは当然と言えよう

高血圧と ED(勃起不全) の関連性

アメリカを中心に海外ではEDと高血圧症の関連性を探る研究は盛んに行われている
一説によれば高血圧症患者がEDも併発している確率は68%となっており、EDと高血圧の因果関係は周知の事実と言えよう

厚生クリニック福岡では診療の一環として必ず血圧の計測を行っているが、この時初めて自分の血圧を知ったという方も少なくなく、場合によってはバイアグラシアリスレビトラを処方できないケースも珍しくない
そういった場合は、かかりつけ医に相談し、高血圧治療を開始してから再来いただいている

このように高血圧症は糖尿病と並んでED発症の大きな要因と考えられている

血圧を制御する高血圧治療薬

高血圧症に対してよく使用される薬として、「利尿薬」や「カルシウム拮抗薬」、「β遮断薬」「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」がある

これらの薬の副作用が原因となってEDを引き起こす可能性もあるので注意が必要である。

1.利尿薬とならびにカルシウム拮抗薬

血圧は血管の中を流れる血液の量に左右される

ちょうどホースの水のように、水流が多かったり、ホースが細い場合は水圧は高くなる。 逆に水量が少なかったり、太いホースの場合は水圧が低くなるのをイメージしてもらえば分かりやすいであろう

「利尿薬」が高血圧症に使われる理由は、血流を減らす目的であり、「カルシウム拮抗薬」は降圧剤と言って血管を広げる作用がある

「利尿薬」は腎臓から体外へ水分を排泄させる作用があり、血液中から水分が取り除くことで血液の量が減少し、結果的に血圧が適正に保たれるという効果がある

「カルシウム拮抗薬」は血管を広げることで血圧の上昇を抑制、高血圧の治療につながる

2.アンジオテンシン系降圧剤

アンジオテンシン系とは「β遮断薬」「アンジオテンシンII(2)受容体拮抗薬」「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」の3つは、生理活性物質に着目した降圧剤で、「アンジオテンシン」にはI(1)からIV(4)の4種類がある
腎臓から分泌される生理活性物質「レニン」によって、まず「アンジオテンシンI(1)」が作られ、その後に「アンジオテンシン変換酵素(ACE:angiotensin converting enzyme)」の働きによって「アンジオテンシンII(2)」に変換される
この「アンジオテンシンII(2)」が血圧上昇の原因となっている

アンジオテンシンを利用した血圧コントロールには3つある

ひとつは「アンジオテンシンI(1)」の原因となる「レニン」の分泌抑止
交感神経のアドレナリン受容体の一種「β1」を阻害することでレニンの分泌を抑止することで「アンジオテンシンI(1)」の生成を抑える
これが「β遮断薬」

ふたつ目は「アンジオテンシンII(2)」と受容体との結合を阻害する方法
「AT1受容体」と結合して血管を縮め、結果的に血圧を上昇させてしまうので、「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」は「AT1」との結合を直接阻害して血圧上昇を抑える

みっつ目は「アンジオテンシンII(2)」を生成するアンジオテンシン変換酵素の働きの抑制
「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」がこの効果による降圧剤と言い、酵素の英名から別名「ACE 阻害薬」とも言う

降圧剤と副作用

高血圧症の症状がある場合、動脈硬化が進行しているケースが多く、それだけでも器質性EDのリスクを抱えており、さらに降圧剤を服用していると薬剤性EDのリスクも高まる

バイアグラ、シアリス、レビトラは降圧剤との相性は良い方なので、併用可能である。 高血圧症でEDの自覚症状がある場合は、是非とも相談いただきたい