週刊ポスト2017年3月24・31日号ご存知のように、厚生クリニック福岡は福岡博多の地でED外来専門医療機関のパイオニアとして10年の実績があり、世に蔓延るEDED治療薬に対する誤った情報や誤解、ウソを正していく使命があると考えている

スマートフォンの普及と比例して 福岡でもEDに関する情報を得やすい環境となったため、博多院開業当初ほど破茶目茶な誤解はなくなったものの、今でもネットニュースを執筆する記者の不理解や語彙不足、一般記事を装った悪徳業者の巧妙な情報操作は後を絶たず、新たな誤解を生んでいる

今日、紹介するのは週刊ポスト2017年3月24・31日合併号の「ED治療薬服用 うなぎやすっぽんを食べた後は逆効果に」という記事である

概ね大きな間違いはないのだが語彙不足による誤解を生みかねないので、ここで指摘と訂正をしておこうと思う

現在、日本で認可されているED治療薬は「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3種類。しかしED治療薬には、禁則事項を持つものがある。バイアグラとレビトラに共通するのは、「食後に飲んではいけない」ことだ。

「バイアグラは食事全般、レビトラは食事に含まれる脂肪分の影響で、食後にED治療薬を服用すると薬物の血中濃度が低下するといわれている。一般的にセックスの前に食事をするパターンが多いので、この2薬の服用するタイミングには注意が必要です」(川崎医科大学付属病院・副院長の永井敦医師

うなぎ、すっぽんなど精力のつく食物を食べたのちにED治療薬を服用すると効果が増すと思いがちだが、実は逆効果となるので注意したい。

引用元:週刊ポスト2017年3月24・31日号

まず「食後に飲んではいけない」という表現が恣意的であると言わざるを得ない

次行で川崎医科大学病院 副院長の永井教授が説明されているように、食後の服用では「血中濃度が低下」するのであって「飲んではいけない」と言うほどではない

血中濃度が低下を分かりやすく言うと、空腹時にバイアグラ50mgを服用した場合は有効成分50mgの全てが血液に乗って効果を現し、食後すぐに服用すると何%(正確な数値は不明)かは血液に取り込まれない(=薬効の損失がある)という意味でしかない

当院ではレビトラの効き方を好む患者さんが多いのだが、通常はレビトラ10mgを服用し、パートナーが脂肪分の多い食事をリクエストしている場合はレビトラ20mgを服用することで薬効の損失をカバーするといった服用方法をされる患者さんもあれば、食事の2時間前にシアリスを服用しておくという患者さんも少なくない

そして「逆効果」を大辞泉で引いてみると

期待したのとは反対の結果が出ること

と記載されている

今回の場合で表すならば「ED治療薬を服用しなくても多少は勃つが、うなぎ、すっぽんなど精力のつく食物を食べてからED治療薬を飲んだら全く勃たなくなってしまった」という状況でなければ逆効果とは言えない

そんな事は当然あり得ない
あくまで食事の影響によって効果が薄れてしまうだけなのである

読者の気を引きたいという意図があって大袈裟な表現を用いているのであろうが、ウソはいけない

 一方でシアリスは他の薬と比べて「食事耐性」がある。

「有効成分の特徴として食後でも効果が出ることがわかっている」(新宿ライフクリニック院長の須田隆興医師)

引用元:週刊ポスト2017年3月24・31日号

どうやらこの記者は熱狂的なシアリス信者であるか、バイアグラよりシアリスを売り込みたい何かしらの理由があるのではないかと勘ぐりたくもなる

以下の表は拙頁「バイアグラ、シアリス、レビトラの違い」に記載してある各ED治療薬の服用のタイミング(効果の発現にかかる時間)と作用時間(効果が続く時間)である

バイアグラ レビトラ シアリス
服用の
タイミング
平均1時間 平均48分 平均2時間15分
作用時間 3~5時間 18~36時間 4~8時間

確かに臨床研究としてシアリスは食後すぐの服用でも薬効が現れやすいことが判明しているが、バイアグラやレビトラほどではないにしても血中濃度の低下は見られ、薬効の損失はゼロではない

よって「あえて食後すぐに服用することに、そこまで執着する必要があるのか」は甚だ疑問である

一般的な食事量であれば、消化にかかる時間はおよそ3時間
食後すぐにシアリスを服用しても薬効を得るには2時間15分待たねばならないことを鑑みれば、食前に服用するほうが遥かに有効な服用方法となる

仮に19時に食事を摂るとしよう(食事の終了を20:30と仮定する)

食後にシアリスを服用すると22:45まで待った上に、薬効の損失が0ではないという状況となる

であれば、作用時間が18時間以上あるのであるから、17時くらいに服用しておけば19:15には十分な血中濃度となり、食事の直後から薬効の損失なしに行為に及べる

また博多っ子はせっかちで有名ではあるが、食後すぐさまホテルに駆け込むよりも、食後はバーなどでゆっくり雰囲気を楽しんでからという方のほうが圧倒的に多いであろう

さらに言えば、初めての相手であったり、ベッド・インできる確率が五分五分という場合もあるであろう

確信が持てぬ相手とのデートに備えて17時にシアリスを服用するのは空振りとなってしまうリスクが否めない

そういう場合であれば、23:30(食後3時間)にホテルや寝室に入ってからバイアグラなりレビトラを服用し、入浴などしながら24:30まで過ごしてから行為に及ぶという使い方がスマートであろう

いずれの薬も、アルコールとの併用は避けるべきだ。

「特にバイアグラはアルコールによって薬効が出にくくなるばかりか、併用で一気に血圧が下がってしまい立ちくらみを起こすことが臨床研究の結果からわかっている。レビトラとシアリスはバイアグラほどの薬効低下はないものの、併用は勧められません」(同前)

ED治療薬の服用時は「空腹、酒抜き」を心がけたい。

引用元:週刊ポスト2017年3月24・31日号

ED治療薬とアルコールの併用を避けるべきというのは間違いではない

ただ、補足的な説明をすれば、アルコールとED治療薬の有効成分とで何かしらの化学反応が起こるわけではない

アルコールには血管を広げる効果があり、ED治療薬にも血管を広げる効果がある

この同じ効果が重なることで血圧の低下やそれに伴う立ちくらみの可能性は否定できない

例えば、脳に血液を送る最大の血管である頸動脈が1.2倍に広がったならば、その広がった血管には1.2倍のポンプ効果で血液を送ってやらねば脳まで登らないわけである

この場合のポンプ効果とは心臓の働きを指す

しかしながら、ご存知のようにED治療薬は勃起機能不全の治療薬であり、当然のことながら催淫効果や媚薬効果といったファンタジーな効果は一切ない

一方、アルコールには開放的な気分にさせる効果やリラックス効果がある

初めての相手であれば余計な緊張が双方にあるであろうからアルコールを多少摂取したほうが成功率は上がるであろう

慣れ親しんだパートナーであれば、適度なアルコールはマンネリ脱却の引き金にもなり得るであろう

よって当院の見解としては、適量のアルコールとED治療薬の併用は効果的な合せ技であると断言している

適量のアルコールとは動悸が乱れない程度の飲酒であることを付け加えておく

序盤に記載したとおり、携帯端末の普及に伴い誰でも情報を発信でき、誰でも簡単に情報を手に入れられるようになった
だからこそウワサ話し程度の不確かな情報に惑わされることなく、本当のことはプロに聞くというスタンスを持っていただきたいと切に願うのである

こちらも参考までに目を通していただけたら幸いである

EDの予備知識 | 厚生クリニック福岡